それは、あたしが仕事も終わり、そろそろ寝ようかなァなんて考えていた頃。
風が強く吹き、ガタガタと障子が揺れる。・・・・・怖い。
あたしは、霊とか怖い話とか大嫌いで、こないだの蚊の事件も半泣き状態だった。
今だってほとんど目も開けず、電気はオールでついていて、何が出ても大丈夫な状態。
「・・・・怖いよー・・・・」
人間ってモンは厄介だ。
思うことを口にするだけでそうなったりならなかったり。
つまり、今発言した言葉によってあたしはさっきよりも怖がり度合いというものが数倍はねあがったのである。
「そーごー・・・・」
思わず幼馴染みの名前がとびでる。
屯所内で、あたしの部屋と総悟の部屋とは結構離れているし、今、奴はあたしの気も知らないで、愛用のアイマスクをして寝ているのだろう。
また、障子がガタガタ揺れる。
「・・・・ムリ、怖い。ヤダ・・・・総悟・・・」
また、ガタンと音がして―――――――、障子が開いた。
「何でィさっきから、人の事何回も呼びやがって」
その声は確実に総悟のもので、頭を覆っていた腕を緩めて、眩しい電気と総悟を見た。
「総悟、最高」
「大丈夫じゃねェか、心配するんじゃなかった」
意外な言葉を聞いて、あたしは少し目を見開いたけど、それでも、隣に座ってくれる総悟を見て笑った。
「心配してくれたんだ」
「誰がそんなこと言ったんでィ」
くしゃりと頭をなでて、鼻で笑った総悟が、とても大きく見えた。
「総悟ー」
「何でィ」
「・・・・・・・なんでもないや」
これから先も、こうして笑えればいい